てっても ふっても

絵と本と珈琲が好きなポンコツかあちゃん。娘ウメちゃん 息子おもち とのプカプカな毎日 その考察。

おもちくんのプリミティブな愛

2歳の息子おもちくん。
彼は非常に好奇心が強い。

天真爛漫、を絵に描いたような人。
(でもたまにすごく狡い。)

あっちこっちに興味の対象が移る。

身体を動かすのが大好き。

だから、ひとところに留まっていられない。

絵本のよみきかせやわらべうた遊び
なんて場にも留まっていられない。

だけど
おもちくん、ほんとは絵本が大好きだ。


おもちくんの愛情表現は独特で、お気に入りの絵本ほど、ビリビリに破いてしまう。
(おもちくんが生まれてから、もう3回くらい図書館の絵本を買い取らせてもらってる。とほほ)

破くだけじゃ気がすまなくて
それを食べようとしたり
ページごと身体に巻き付けて洋服のようにしたり
ページの中に潜り込もうとしたりする。

その姿を観察していて私は妙に興奮した。

なんというか

とてもプリミティブな美しさを感じた。

好きで
好きだから
より近づきたい。

一緒になってしまいたい。
自分の身体に取り込んでしまいたい。


本能的な行動に、美しさを感じた。


それは全ての絵本に対して向く行為ではない。

気に入っている絵本だからといってやるわけでもない。

おもちの愛の犠牲となる絵本たちは、何処か共通点があるように思う。

自由で力強くて何処か野性味がある
そんな作品。

それらは、持ち主であるところの私にとっても思い入れのある絵本たちであるから
ビリビリは正直、悲しい。
(実際何度も、思わず怒鳴って叱った。そして夫に「おもちの届くところに置いといたらそうなるよね」と冷静に言われ、ギリギリとする。)

本は大切にしてほしい。
図書館から借りているものならなおのこと。
それは伝えつづけていかなければならないことだ。

でも、同時に私は、おもちくんの愛の表現が
ちょっと
…いやとっても!

いいなあ
と感じている。




最近、おもちくんのプリミティブなラブが久々に炸裂した。

お相手はこちらである。


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ねむの木学園の少女の素晴らしい絵に、佐久間さんの優しい詩が添えられている。

学園の創始者である宮城まり子さんのあとがきも、たっぷりとしたまなざしに溢れとても素敵だ。

大切にしていたこの小さな絵本が、おもちくんのおめがねに叶ってしまったのである。

いやあ、おもちくん。


君、いいセンスしてるよ。




すぐに気づいて止めたので(おもちくんごめん、これはママの大切な本なんだ)「全部ビリビリの刑」は免れたが、ページが外れてバラバラになってしまった。

そのバラバラになった1ページ1ページを眺める。

うーん、やっぱり好き。


…正直にいおう。

ひときわ小さなこの絵本。
本棚のなかで他の本たちに埋もれ、私はしばらく存在を忘れていた。
おもちくんが掘り返してくれなければそのままだったかもしれない。

改めてみると本当に彼女の絵は、いい。

ずっとみていたい。

折に触れてみたい。


だから
そうすることにした。



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由美子さんの優しく深い作品たちは、部屋のあちこちに住処を得ることになった。

これでいつでも眺めることができる。


ひとつひとつの絵を眺めれば、佐久間さんの優しい詩がどこからか聴こえてくる。



おもちくん、嬉しそうだ。
指さして、ダンダンと跳ねた。



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好きなものに囲まれているのは貴方にとって大事なこと、と、リーディングのできる友人にいわれたことがある。

この絵たちを家に飾ってから、自分の匂いや色が少し濃くなったような気がする。

ちょっとイレギュラーな絵本の楽しみ方になってしまったが、なかなかいい。

いや、とてもいい。


ワザワイテンジテフクトナス、だね。


おもちくんにそう呟いてみた。

彼は私をみあげて
わけもわからず、二カッと笑ったのだった。