てっても ふっても

絵と本と珈琲が好きなポンコツかあちゃん。娘ウメちゃん 息子おもち とのプカプカな毎日 その考察。

カツテコドモと松谷みよ子さん

絵本のよみきかせ・わらべうた・音楽ライブを融合したトリオ『ミナポッケ』 


昨年から、友人たちと活動をはじめました。


あちらへこちらへ

 神出鬼没


…なーんていうと格好がいいけれど。


要は不定期活動。


ご縁あった場に、メンバーのこどもたちや協力してくれる友人、時には家族も巻き込んで、わいわいと楽隊のように訪れては

こどもたち大人たちみんなまぁるくひとつに楽しい時間を共有させて頂いております。


だいすきだった絵本の世界に子育てを機にまた出会い直したとき

初めての育児の日々の中、コンプレックスやらアイデンティティやらと格闘していた私は、柔らかな光に包まれた思いでした。


それから、わらべうたや朗読、児童文学‥

興味は果てなくひろがり…


懐かしさと未知への期待で

もどかしくも嬉しく楽しい

最近の日々です。



さて さて


とある眩しい晴天の日

木という木の色付いた葉を全て攫っていきそうな強風の中


コドモゴコロマンテンのミナポッケ3人衆は、“ホンモノの子どもたち”とまたもやワイワイ大挙して、とある素敵な古書屋さんを訪れました。

https://www.smokebooks.net/2017/04/19/%E3%81%BF%E3%82%8B-%E3%81%8D%E3%81%8F-%E3%81%88%E3%81%BB%E3%82%93-%E3%81%8A%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%97%E4%BC%9A-at-smokebooks%E3%81%BF%E3%81%AE%E3%82%8A%E5%8F%B0%E5%BA%97/




レトロなビルディングの1階にひっそりと佇み、国内外の絵本や児童文学が取り揃えられたそこは、私たちにとってそりゃもう桃源郷のようで!


愛おしい本たちにうずもれる様に没頭したい気持ちと、ちょっと久しぶりの逢瀬にハメを外したい“ホンモノの子ども”さんたちとの賑やかしい攻防戦。


そのせめぎ合いの中で、時間はあっという間に過ぎ去りお別れの時間になってしまいましたが

興奮冷めやらぬ3人衆は、帰宅してからも夜中までお互いが迎えた本たちの話で大盛り上がりなのでした。



今回私が持ち帰ったのはこちら。

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不朽の名作シリーズ


「ちいさいモモちゃん」

「モモちゃんとプー」

「モモちゃんとアカネちゃん」

松谷 みよ子 作


幼いとき、母に繰り返し寝物語に読み聞かせてもらった、私にとって(そしてきっと 沢山たくさんの人にとっても!)ひときわ思いいれの強い児童文学作品です。


いつの間にか実家から消えてしまったこのシリーズを、どうしても当時の装丁(菊池貞雄さんの人形)の版で我が娘ウメちゃんに贈りたかったから

素敵な場所で出会い直すことが出来て本当に嬉しい!


モモちゃん

プー

アカネちゃん

タッタちゃんにタアタちゃん


かつての私の親友たち。


その物語の1文1文、台詞のひとつひとつ全てが、泣きそうに懐かしく、親しげに語りかけてきます。


そして

大人に、母になって、尚いっそうわかる松谷さんの見事過ぎるほどの物語のはこび。

観察力と表現力。

滴るように瑞々しく、そして鋭いその感性。


改めて、とんでもなく素晴らしい作品を与えられていたんだわ…と自身の母に感謝しました。


いまや私も「母」の目線を持つ者となり
幼いモモちゃん・アカネちゃんの言動は、胸をかきむしりたくなるほどに健気愛らしく感じます。


そして、やがて離婚するモモちゃんのパパとママがすれ違っていく様を、「パパが靴だけで帰ってくる」という、ファンタジーでありながらこどもにもスッとその冷たい気配を伝えるエピソードには
見事だ…と思わずため息。


人生の哀しみや切なさを誤魔化すことなく真っ直ぐに描ききりながら、やはり柔らかいファンタジー性を保っているこの名作は、子どもたちはもちろんのこと、全ての「かつて子どもだった」人たちへ贈られたものだったのでしょう。


プルプルの感性の子ども時代にこの物語に出会い、「カツテコドモ」の今再びこうやってフレッシュに物語に向き合っている自分の姿を、どこかで松谷さんに優しく見つめられているような…そんな気がします。


そして。
カツテコドモになってからはじめて気づいた
ことがありました。

シリーズの第一巻「ちいさいモモちゃん」の巻末のページに、こんなメッセージをみつけたのです。

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この作品を発表したとき既に、松谷さんは代表作「龍の子太郎」にて国際アンデルセン賞優良賞を受賞なさっています。

その才を大きく評価されていても尚、こんなにも謙虚で誠実な姿勢で物語を世に送り出していらっしゃったのかと、思わず目頭が熱くなる思いでした。

珠玉の物語を生み出したその人は、やはりその人柄も美しい方だったのだなあと

物語以上に、この巻末のページに感銘を受け、何度も指で印字を撫でた冬の夜でした。