憧れの 籠と赤
先日、友人が図書館でこどもたちに「素話」をするというのでききにいってきた。
友人は美しい赤いワンピースを着ていた。
彼女の“お師匠さん”である、素敵な素敵な女性もまた、赤いカーディガンをお召しになっていて
寒い冬の日にパッと灯りが灯っているようだった。
うっとりとした気持ちで帰宅すると、ポストに宅急便の不在票が入っていた。
胸が踊る。
数日前に注文した籠が届いたのだ。
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籠が好きだ。
とくに、まあるくてゴロッとして 大きくて
ジャガイモやら卵なんかが無造作にいれてあるような、気さくな籠。
そんな籠にガサッと身の回りのものをいれて、夏でも冬でも、どこにでも出かけていきたい。
そんなささやかな憧れを最初に抱いたのは高校生のとき。
https://voguegirl.jp/fashion/snap/20180425/jane-birkin_summer-dress/
彼女の名前がつけられたエルメスの高級鞄はあまりに有名だが、私の中で“ジェーン・バーキンの鞄”といったら断然このバスケット。
https://www.pinterest.jp/pin/367043438381486971/
でも、確かそのときは、実際に籠を持って闊歩することはなかった。
自信がなかったのかな。
当時はまだインターネットで買い物することも出来なかったから、丁度良い相棒(籠)に出会うことが出来なかった。
とにかく
どこにでも持ち歩く籠と、ジーンズをインしたロングブーツの合わせ技は
私の中で永遠の憧れのスタイルとなった。
“今はムリでも”
17歳の私は胸に誓った。
“いつかこんなカッコイイおばさん(おばあさん)になった暁には、堂々と籠にロングブーツでどこにでも登場する素敵で粋な女性になろう”
https://wear.jp/sp/meteoric8823/article/578124/
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さて。
あれから20年近くが経過してしまった。
(ガクゼン)
バーキンを持つような素敵なセレブにはなれなかったが、念願の籠でどこにでも出没するオバサン、にはなれている。
(パチパチパチ)
ただし、17歳の頃に憧れたジェーン・バーキンのようなフレンチカジュアルスタイルとはちょっとちがう。
今の私が好んで持ち歩いているのは
ブルキナファソバスケット。
https://menui.jp/SHOP/962532/470477/list.html
頑丈で遊び心満載のこの籠に出会ってひとめぼれ。
幾つか所有して、インテリアに使ったり、こどもたちのおままごとにも大活躍だ。
そしてもちろん。
かつての憧れを体現すべく、私はこの籠で色んなところに出没する。
オムツやミルクやおやつやおもちゃ。
子供のものをなんでもがさりと詰め込んで、愛車の助手席にポンとおき、あちこちへ。
いまはいくらでも便利でコンパクトな「ママバック」が手に入る。大きくてまあるいブルキナファソバスケットはちょっと不便に感じることも、ジツハチョット、アル。
でも、自分の中の「しっくり」の感覚はなにものにも変え難い。
オットには「そ、それで電車に乗るの?」とたじろがれる。
ハイ、ノリマスヨ。
たまに「素敵な籠ですねー」なんて知らない人に話しかけられるんだから!
ジェーン・バーキンのような憧れの女性には程遠いけれど、少女の頃胸をときめかせたことを叶えるってすごく嬉しいもんだ。
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新しく届いた籠は、ベトナム製のシーグラスバスケットだ。
ブルキナファソに比べると柔らかくて頑丈さにはかけるが、オークションサイトでみかけて、この色に魅せられて「ぜひ、子供部屋に置きたい!」と衝動買いしてしまった。
深い緋色。
「そうか。」
と独り合点がいく。
最近この色に無性に惹かれる自分。
素話やわらべうたの世界の扉を私の前でひらいてくれたあの素敵な女性たちの纏う色だ。
そういえばあの方、ちょっとジェーン・バーキンに似ている…!
なんだか嬉しくてニヤニヤニマニマする。
なんだろう、この感じ。
胸がときめいて、憧れて、その憧れにどうしたら自分なりに近づけるだろうって考えてるときほど幸せなことってないよなあ。
17歳の自分にそっと話しかける。
「憧れを、楽しんで。」
そうそう。
残念ながら、ブーツにジーンズをインするほどの細い脚はまだ手に入っていない。
ここはちょっと妥協して、ワンピースにブーツでも、挑戦してみようかな。